完璧な皆既日食の観測ができました。 | 中国の旅行記

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完璧な皆既日食の観測ができました。

エリア
中国
/中国
テーマ
自然
時期
2009/7/20~2009/7/23
投稿日
2009/8/3
更新日
2017/10/6
投稿者
佐藤直人様

21世紀最大の皆既日食が、7月22日インドから中国、日本のトカラ列島で起こりました。今まで輝いていた、まぶしい太陽が月に隠される、神々の天の消灯です。この不思議な宇宙の天体ショー「黒い太陽」を見に最も観測条件の良いと言われる中国、安吉市郊外の山中「天荒坪」で皆既日食を観測しましたのでご紹介いたします。

  • 皆既日食の前日

    日食前日の21日は、安吉市で一番立派なホテルに夕方到着しました。屋上に上がると市内が一望できます。遠方に山々があり、その向こうに今回の観測場所となる「天荒坪」があります。チェックインを済ませ約1時間後、「日食レクチャー」が開催されました。
    日本はちょうど夏休みに入ったところです。このツアーは、子どもの参加者も多く、夏休みの自由研究のテーマを、「皆既日食」にした子も何人かいました。さて、レクチャーの内容ですが、スタッフの方が事前調査された内容や初心者を対象とした日食の楽しみ方や上級者向けの専門的な説明まであってとても幅広いものでした。特に、観測会場となる「天荒坪」ダムの足場はコンクリートやアスファルトなので、本格的な望遠鏡などの機材設営に最適な場所です。しかし、樹木がなく部分日食状態で起こる木漏れ日を見ることができません。そこで、スタッフの方が「木漏れ日板」を用意してくれました。

    写真左:安吉市内風景
    写真中央:ホテルのレクチャー室(直前の様子)
    写真右:木漏れ日板(部分日食の時に使う)

  • 当日の朝の様子

    日食当日は早朝5時にカメラやスケッチブック、専用の機材をバスに積んで出発。
    早めの出発でしたが現地付近では、許可証を持っている車で既に渋滞していました。
    今回の皆既日食で世界から最も注目されている場所ですから、しかたありません。
    私達が現地に着くと、いくつもの天文関係の大きなパネルが壁面に並んで雰囲気を盛り上げていました。また、この日参加する人々の出身国の国旗がポールに掲げられ、私達を歓迎しているようにそよ風にたなびいていました。
    国営テレビの大型中継車やミキサー車が既にスタンバイの状態で、中国の日食イベントに対する意気込みが伝わってきました。

    写真左:ポールに掲揚された世界の国旗
    写真中央:テレビ局の中継車やミキサー車
    写真右:会場壁面の天体写真のパネル

  • 観測の準備

    観測に使う機材や荷物は、ダム管理人が指定する場所へ電気自動車で運びます。指定された観測場所に着くと、黄色いイスが用意されていました。私は何度か海外で日食観測していますが、この様に会場がしっかりと整備されているのは初めてです。日食ツアーの多くは、バスで現地まで行き、自分で機材を運び設営します。足場も砂漠や土漠ですから靴の中に砂が入り、トイレもテントの中での仮設トイレでしたが、ここ「天荒坪」ダムの会場は、見晴らし台の一角に大理石でできた、とても立派なトイレがあり、女性の方からも好評でした。
    私達は、徒歩で荷物のある場所に向かいます。既に、駐車場は大型バスであふれ、遠方のアメリカやヨーロッパから来た人々で溢れていました。

    写真左:荷物の運搬に使う電気自働車
    写真中央:駐車場は外国人でいっぱいです
    写真右:観測場所に向かう人たち

  • いよいよ本番!

    太陽が欠け始める時刻は、8時20分です。パソコンとGPSを連動した日食ソフトをスタッフの方が用意して、タイムカウントをしている声が周囲の緊張を一層高めます。
    赤道儀持参の人達は緯度や方位の情報交換を、コンパクトカメラで撮影する人はフィルターの準備、そして夏休みの自由研究のテーマにした子どもは持参したワークシート記録用紙や時計を確認していました。今回は、ツアー会社が用意した望遠鏡もあり簡単に撮影が出来ました。また、部分日食の際に使う「木漏れ日板」が好評で多くの方が三日月に投影されたプレートの影を記念撮影していました。
    自然豊かな山中では、鳥やその他の動物がいます、太陽が欠け始めると天空うを飛ぶ鳥の飛び方がコウモリのような飛び方をし、遠くから小動物の奇声がきこえました。

    写真左:ツアー会社が準備した望遠鏡です、誰でも使えました
    写真中央:いよいよ部分日食がはじまりました、皆さん興奮!
    写真右:「木漏れ日板」でピンホールの光が三日月になります

  • 「黒い太陽」皆既日食本番!!

    宇宙と人間が一つになる時、この世の全てを支配する太陽が消える瞬間がやってきました。
    5分34秒間、宇宙の天体ショーの始まりです。
    直前まで明るい観測地も暗闇となり、太古の人々があがめていた太陽神が消え、気温も下がってきました。
    天空には、金星が輝き、鳥の姿もありません。周囲は不気味な雰囲気となります。
    その中で、コロナに包まれた皆既日食を体感している人、ビデオや専門的な機材で撮影している人、宇宙の驚異にただ唖然とする人、様々な想いを込めて観測場所の時は流れました。

    写真左:暗闇の中で観察や撮影をする人たち
    写真中央:太陽が月に全て隠される直前の姿
    写真右:コロナに包まれた皆既日食中の太陽

  • ダイヤモンドリング

    皆既日食の醍醐味は、何といっても暗闇で隠れた太陽の光が一点から噴き出す、ダイヤモンドリングです。わずか1~2秒、暗闇になれた人間の目は、コロナと同時に太陽光をみることができます。最後の天体ショーは人間に強烈な思い出を残します。この瞬間、周囲から拍手や歓声が上がり、ダイヤモンドリングを見て涙ぐむ女性の姿もありました。
    世紀の天体ショーが終わると、日本人からバンザイという歓喜が、またヨーロッパの人達はシャンパンを開けるポーンという音が聞こえました。
    理由も無く、感動させる瞬間が終わると周囲は急速に明るくなります。
    日食メガネを使って太陽をしばらく観察し、先程の余韻を楽しんでいる人、皆既日食後の部分日食を撮影している人も多くいました。

    写真左:ダイヤモンドリングの始まる瞬間
    写真中央:周囲から歓声があがり興奮状態です
    写真右:周辺が明るくなり始めました


  • おわりに

    日食観測が終わったツアーの人達の昼食の話題はもちろん今回の日食です。
    急激に変化する明るさや、ダイヤモンドリングの印象は強烈なものがあり皆さん驚いていました。
    昼食を済ませ、上海に帰る途中から雨が降り始め、高速道路をバスが走る頃にはスコールの様な強い雨となり車内にお守りとして飾った「てるてる坊主」に皆さん感謝、感謝でした。

    写真:車内の「てるてる坊主」に感謝、感謝!